ホルト‧オーラム症候群の会にようこそ
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皆さんは「ホルト‧オーラム症候群」という病気をご存知ですか?
◆ホルト・オーラム症候群(Holt-Oram症候群)遺伝科の立場から 上記⇧をクリックして下さい |
ホルト‧オーラム症候群の⼼臓疾患
ホルトーオラム症候群の75%に⼼臓の異常を⽣じることが知られています。
先天性⼼疾患の合併
心房中隔欠損 |
⼼臓は4つの部屋から構成されており右側にある右房、右室と左側にある左房、左室の間には、中隔という仕切りで分けられています。右房と左房の間にある仕切りは「⼼房中隔」とよばれ、右室と左室の間にある仕切りは「⼼室中隔」と呼ばれます。 右房と左房の間にある⼼房中隔に⽋損(⽳)を⽣じる場合を「⼼房中隔⽋損」と呼び、右室と左室の間にある⼼室中隔に⽋損(⽳)を⽣じる場合を「⼼室中隔⽋損」と呼びます。 |
さらに肺動脈の⾎圧を上げて肺⾼⾎圧を⽣じることがあります。 |
⼼室中隔⽋損 |
⼼臓の刺激伝導系の異常:伝導障害
⼼臓の構造上の異常に加え、⼼臓の電気的な活動に異常を⽣じることが知られています。
⼼臓は、通常右⼼房にある洞結節と呼ばれるペースメーカー細胞から、電気的な刺激が出され、それが⼼房ー房室結節ー⼼室と伝わって⼼室が機械的に収縮します。 この⼼房から⼼室への電気的な伝わり⽅に異常を⽣じて、⼼房から⼼室への電気的な刺激が遅くなったり途切れたりすることがあります。
⼼房から⼼室へ電気的な刺激がうまく伝わらない状態を「房室ブロック」と呼びます。
完全に⼼房から⼼室に電気の刺激が伝わらなくなると、完全房室ブロックと呼ばれ、ペースメーカーという機械を装着して⼼室がきちんと⾎液を全⾝に送ることができるようにする治療が必要になることもあります。定期的な ⼼電図などでの経過観察が必要と⾔われています。
ホルトーオラム症候群では、⼼臓以外に指などの異常がありますので、この治療と⼼臓の治療とを⼼臓を診る⼼臓専⾨医と指などを診る形成外科、整形外科専⾨医との間で緊密な連携をとって治療していくことが重要です。
治療
治療としては、⼼臓外科⼿術が基本となります。⼼房中隔⽋損では、カテーテルで⽋損孔を閉鎖する経⽪的⼼房中隔⽋損閉鎖術が⾏われることもあります。⼼室中隔⽋損では、まだ⽇本ではカテーテル治療は⾏われておらず、基本的な治療は⼼臓外科⼿術です。⼈⼯⼼肺という装置を使⽤して⼼臓を⽌めて、⽋損孔を膜で閉じます。また⼼室中 隔⽋損が複数あって、⼼室中隔⽋損を膜でうまく閉じることができない場合は、フォンタン⼿術と呼ばれる⼿術で治療されることもあります。
⼩児慢性特定疾病や難病指定について
ホルトーオーラム症候群は、⼩児慢性特定疾病は2021年11月1日より対象となりましたが、「難病医療費助成制度」には残念ながらまだ指定されていません。
⼩児慢性特定疾病制度は、厚⽣労働⼤⾂が、⼩児慢性特定疾病にかかっている児童について、健全育成の観点から、患児過程の医療費の負担軽減を図るため、その医療費の⾃⼰負担分の⼀部が助成される事業です。
(資料https://www.shouman.jp/assist/outline)
ここで対象となる⼩児慢性特定疾病の条件としてあげられているのは、
1.慢性に経過する疾病であること
2.⽣命を⻑期に脅かす疾病であること
3.症状や治療が⻑期にわたって⽣活の質を低下させる疾病であること
4.⻑期にわたって⾼額な医療⽇の負担が続く疾病であること
の4項⽬をみたして、厚⽣労働⼤⾂が定めるもので18才未満の児童が対象とされています。
(ただし、18才到達時点において引き続き治療が必要と認められた場合は、20才未満まで対象となります。)
ホルト・オーラム症候群は、心臓の異常ばかりでなく手指の異常など生涯を通じた医療が必要な病気です。
それにもかかわらず今までは国の助成制度を受けることができなかったのですが、
いろいろな機関からの働きのおかげで、2021(令和3年)年11月1日にようやく小児慢性特定疾病(16疾患群788疾病)の一つとして認められました。
これで医療費助成を18歳未満まで受けることができるようになりました。
また18歳到達時点で引き続き治療が必要な場合は20歳まで助成を受けることが可能です。
2023年4⽉現在
20歳以上で治療が必要な場合には「難病医療費助成制度」という制度がありますが、
残念ながらホルト・オーラム症候群はその対象疾病に指定されていません。
この病気は、一生を通じた医療が必要なので20歳を超えた成人になってからも医療費助成は必要です。
難病医療費助成制度の対象疾病(指定難病)認めてもらうためには、ホルト・オーラム症候群の患者が日本にどれくらいいるのか、どんな医療を必要としているのか、今患者はどんなことに困っているのか、どんなサポートを必要としているのか、現状についてのデータの集積と治療法の開発が必要です。
これらのことについて、この病気をもつ患者や家族が連携して情報発信と要望の声を上げる必要があります。この活動拠点としてこの家族会を少しでも利用していただければと思います。
願い・理念
この病気を世界中の方々に知っていただく
この病気で泣いたり辛い思いをする⼈の撲滅
ホルト・オーラム症候群の会の目標
- 多くの方々にホルト・オーラム症候群を広く知ってもらう
- ホルト・オーラム症候群の患者同士の交流の場を作る
- 「難病医療費助成制度の登録」をめざす
- 「日本患者会情報センター登録」をし、国内の患者会においても認知していただく
- 社会的弱者からの脱却
遺伝子の病気という事もあり、各ご家庭により様々な考え方があり、なかなか会員が集まらないのが現状ではありますが、会員が増加せずとも常に情報発信を続けていき、この病気で悩まれたり、苦しんでいる方の支えに少しでもなれたらと思い活動をしています。
病気があってもなくても互いを認め合い、互いに足りないところを補い合い、多様性を認め合う社会の実現、また社会的弱者からの脱却を目標とし活動をしてまいります。
代表ご挨拶
この度はホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。
さて、この会はホルト・オーラム症候群の啓蒙や理解を深めるのと同時に患者様や患者家族様など関わる人すべてのために『もっと生きやすい社会にしよう』ということを目的に私の母が2018年に立ち上げた患者会となります。
僕もホルト・オーラム症候群の患者当事者で、先天性心疾患と両手に形成異常があります。
また、自閉スペクトラム症や不安神経症、うつ病などの病気も患っており、日々の服薬や通院が欠かせません。
この患者会が始まった頃、僕は中学2年生で不登校をしておりました。
当時の記憶はほとんどありませんが、とても辛かったことを覚えております。
そんな時に母が始めたのがこの会です。
初めはブログに寄稿をしたり、事務作業を手伝ったりとその時に必要なことを様々なことをさせていただきました。
そのような中で、代表見習いとしてさまざまな方々と出会い、お話をし、励まされ、衝突し、また肩を組んでと・・・
本当にたくさんの経験を積む機会をいただきました。
そんな日々を続けていたらいつの間にか、僕が代表に・・・
というのが、正直な感想です。
「挨拶は短く、幸福は長く」という言葉を今思い出しましたので、
最後に。
この会は皆様と共に創り・歩んでいく会です。
そして、僕も患者当事者として、また今度は代表として皆様と共に一歩ずつ確実に成長をしより良い社会にできるように、微力ながら活動を続けてまいりたいと考えております。
まだまだ未熟者で至らぬ点も多々ありますが、
今後とも当会をどうぞよろしくお願い申し上げます。

ホームページは皆様の寄付によって制作いたしました。
今後ともホルト・オーラム症候群の会を宜しくお願いいたします。
寄付のお願い
寄付をお願いしております。この会は会費をいただいておりません。
皆様のあたたかいご支援をどうかよろしくお願い申し上げます。
ご寄付につきましては会のオリジナル商品を購入していただくか、
お手数ですが下記をクリックしていただき
寄付希望とご連絡をいただけましたら、
口座番号をお伝えいたします。どうかよろしくお願い申し上げます。
継続的に応援していただけるクラウドファンディングも行っております。
詳しくは下記からご確認ください。
矢沢 知恵 Tomoe Yazawa 副代表
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所属‧専門分野副代表 兼 事務局長 |
主な経歴
2018年1月 ホルト・オーラム症候群の会 ハート&ハンドを立ち上げ代表へ就任
安河内 聰 Satoshi Yasukochi理事
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所属‧専門分野現在 社会医療法人財団 慈泉会 「相澤病院」エコーセンター長 長野県立こども病院 |
主な経歴
1989年 | 福岡出身。信州大学医学部卒業。横須賀米海軍医療センター、信州大学小児科を経て東京女子医科大学心臓血圧研究所で高尾篤良先生の下、小児循環器学を学ぶ。 |
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1990年~1993年 |
アメリカのJohns Hopkins大学、Cornell大学に留学。 |
1993年5月 | こども病院開設と同時に循環器小児科に赴任。 |
2002年 | 同部長 |
2014年 | エコーセンター長 |
2016年 |
循環器センター長 |
2021年4月より | 社会医療法人財団 慈泉会 「相澤病院」エコーセンター長 |
古庄 知己Tomoki Kosyou 理事
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所属‧専門分野・信州大学医学部遺伝医学教室・教授 ・臨床遺伝子学 ・遺伝性結合組織疾患 (エーラス・ダンロス症候群、マルファン症候群 など) ・染色体異常症候群(18トリミソー、13トリミソー など) |
主な経歴
準備中です。 | |
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川目 裕Hiroshi Kawane (前理事 現在は会の運営等には関わっておりません)
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所属‧専門分野臨床遺伝、小児遺伝、遺伝カウンセリング。 (※2021年10月31日をもちまして大変残念ながら勇退されました。これまで会を支えて下さりこの場を借りて感謝申し上げます。) |
主な経歴
1986年 | 東京慈恵会医科大学医学部卒業、同大学院修了(1992年、博士(医学))。 |
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1992年〜1995年 | ワシントン大学遺伝医学講座‧シアトル小児病院遺伝科シニア‧フェロー。 Bonnie Pagon、Louanne Hudginsに師事。 |
1996年〜2001年 | 帰国後、東京慈恵会医科大学医学部小児科助手、都立北療育医療センター医員、医長を経て、信州大学医学部附属病院遺伝子診療部助手、信州大学医学部社会予防医学講座助教授。 |
2002年 | 長野県立こども病院総合周産期母子医療センター遺伝科部長。 |
2009年 | お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科ライフサイエンス専攻遺伝カウンセリングコース教授。 同年、認定遺伝カウンセラー制度委員会委員長に就任。 |
2013年 |
東北メディカル‧メガバンク機構教授。 |
2019年 | 東京慈恵会医科大学附属病院遺伝診療部と兼務。 |
野口 昌彦 Masahiko Nogichi 理事
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所属‧専門分野長野県立こども病院 形成外科 部長 |
主な経歴
1987年 | 信州大学医学部医学科を卒業 信州大学形成外科に入局 |
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1987年10月 |
熱傷治療を学ぶため社会保険中京病院形成外科(名古屋)に勤務 |
1990年4月 | 再び信州大学医学部形成外科勤務となり、小児先天奇形の診断治療をはじめ、マイクロを使用した再建など形成外科の基本手技につき研修。その後、信州大学医学部形成外科学講座の助手 |
1994年4月 | 長野県立こども病院形成外科勤務 |
2000年 | 信州大学医学部形成外科臨床教授 |
2019年 |
信州大学医学部形成再建外科教室特任教授となり現在に至る |
ホルト・オーラム症候群に対する形成外科としてのアプローチ
当院では我々形成外科を中心に手の形成異常および胸の形態異常に対しての診断と治療を行っています。特に手に関しては必ずみられる異常であるとともに、程度も様々で腕を含む異常を示すこともあります。比較的早期からの治療的介入が必要な場合も多い病態であることか循環器科による診療と併せて新生児期からの介入を行っています。
形成外科の医師として日本のホルト・オーラム症候群の患者さんへの医学会の対応について
施設毎に先天性の手の異常を扱う科は異なります。また受診されている施設の科によっても治療方針が大きく異なります。
北村 千章 Chiaki Kitamura 理事
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所属‧専門分野助産師、看護師 |
主な経歴
1990年 | 全国心臓病の子どもを守る会の活動のボランティア参加をきっかけに、公的なサポートが少ない在宅で暮らす先天性心疾患および22q11.2 欠失症候群の子どもたち、医療的ケアが必要な子どもたちを、地域でボランティアチームをつくりサポートをしてきました。 |
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2009年 |
新潟県立看護大学大学院看護学研究科修士課程修了後、新潟県立看護大学小児看護学助教‧講師として研究活動を開始しました。 |
2013年 | 全国心臓病の子どもを守る会賛助会員として、東京都と長野県で活動し、22 HEART CLUBのアドバイザーもを務めています。 |
2015年 | NPO法人親子の未来を支える会の理事を兼任、フィラデルフィア小児病院(CHOP; Children's Hosp ital Of Philadelphia) 22q and You Centerを訪問しました。(日本学術振興会科学研究費:挑戦的萌芽:課題番号:15K15859) |
2018年 | 11th Biennial International xxqww.x Conferenceで研究報告をしました。(日本学術振興会科学研究費:挑戦的萌芽:課題番号15K15859) |
2019年 |
清泉女学院大学看護学部に小児期看護学准教授として着任しました。 |
2019年 |
NPO法人親子の未来を支える会の協力を得て医療的ケア児の就学サポートをはじめました。本事業では、医療的ケア児や学校看護師のためのガイドライン案作成と学校看護師を支えるネットワークの構築を目指しています。(2019年赤い羽根福祉基金) |
2023年4月 |
清泉女学院大学大学院 看護学研究科 教授 / 看護学部看護学科長 |
ホルト・オーラム症候群に対する看護の立場(看護学)としてのアプローチ
この疾患は、看護職に限らず、医療者の間でも認知が進んでおらず、認知度の向上が必要な疾患のひとつだと考えます。特に看護職は、病をもつ人や家族の尊厳を守り、そのひとらしく生きることを支えるという使命を担っていますので、疾患の特徴や患者・家族のおもいに触れる機会が必要です。看護職として現在働く人だけでなく、これから看護・医療を目指す学生たちにも、この疾患について学んでほしいと思います。また、この疾患の患者・家族の支援を考えるとき、看護・医療だけの分野では補えないものがあります。福祉や教育、行政などさまざまな専門家と連携しながら、支援を考えていく必要があります。
看護の立場として日本のホルト・オーラム症候群の患者さんへの医学会の対応について思うところ
遺伝医療が発展したいま、だれもが唯一無二の存在として認められ、多様性が尊重される必要があります。また、そのような多様な存在が、自らの力を十分に発揮できる社会の構築が必要です。看護・医療は、これまで以上にいのちの尊厳を訴えながら、多様性への理解を広めていく役割があると思います。
丸山 昌子Syouco Maruyama 理事
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所属‧専門分野MSW(医療ソーシャルワーカー) |